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医療機器の製造販売業者(メーカー)が医療機器の保守メンテナンスを外部委託する背景・メリット

2026.3.3

Chapter.1

法令遵守・品質・コストの基本

医療機器の高度化・多様化が進むなか、医療機器の製造販売業者が点検・修理(保守メンテナンス)業務を外部に委託するケースは年々増加しています。
その背景には、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称 薬機法、旧薬事法)への対応強化、全国一律の保守メンテナンスの品質や人材の確保の難しさ、コスト構造の最適化といった複合的な課題があります。

本記事では、法令遵守・品質・コストの3つの観点から、なぜ保守メンテナンスの外部委託が有効な選択肢となるのかを整理し、メリットから委託先選定のポイントまで体系的に解説します。

 

Chapter.2

医療機器の保守メンテナンスとは?

法的義務と製造販売業者の責任

医療機器の保守メンテナンスとは、定期点検や修理を通じて、医療機器が本来の性能を維持し、安全に使用できる状態を継続的に確保する業務を指します。

薬機法では、医療機器の品質・有効性・安全性を確保する最終責任は製造販売業者にあると定められています。
この責任は、設計・製造にとどまらず、適切な保守メンテナンス方法の提供、安全使用情報の周知、市販後の安全対策まで含まれます。

また、「医療機器管理業務指針(日本医療機器学会等)」では、保守計画の策定、実施記録の保存、故障・事故時の対応体制などが、安全使用を支える基本業務として整理されています。

とくに特定保守管理医療機器においては、専門的な知識と技能を有する者による点検が義務付けられており、製造販売業者はこれらを適正に遂行できる体制を維持する必要があります。

 

製造販売業者が直面する保守メンテナンス体制の課題

事業ポートフォリオや製品ラインアップが多角化している医療機器製造販売業者において、自社の保守メンテナンス部門だけで全国一律の高品質な業務を維持することが難しくなっています。

このため、専門ノウハウと全国ネットワークをもつ外部パートナーに保守メンテナンス業務を委託し、品質の安定化と自社リソースの最適配分を図る必要があるのです。

 

全国対応と人員リソースの限界

製品ラインアップがしている製造販売業者では、保守メンテナンス部門が対応すべき機種や技術範囲が拡大しています。
限られた人員で全国対応を行う場合、対応スピードの低下や現場負荷の増大が起こりやすく、結果として顧客満足度や対応品質に影響を及ぼすリスクがあります。

また、エンジニアの過度な出張負担や離職に伴う再教育コストは、慢性的なリソース不足を助長し、現場運営を圧迫します。

Chapter.3

薬機法遵守・監査対応の事務負担

医療機器の修理を自社で行う場合、薬機法に基づく修理業許可の取得・維持、責任技術者の配置、作業・点検記録の適切な保存など、多くの法的要件を継続的に満たす必要があります。

さらに、行政監査やFSCA(Field Safety Corrective Action:市場安全性是正措置)が発生した場合には、全国の設置先に対して均質かつ迅速な対応と、それを裏付ける記録管理体制が求められます。

これらは、法務・品質保証・現場部門にとって大きな事務的負荷となります。

Chapter.4

医療機器の保守メンテナンスを外部委託する3つのメリット

医療機器の保守メンテナンスを外部委託することで、品質・コスト・法令遵守の3つの観点から、自社単独運用では達成しにくいレベルの体制を速やかに構築できます。

とくに、医療機器を多数扱う製造販売業者にとっては、専門性と全国対応力を備えたパートナーとの連携が重要です。

 

メリット1|保守メンテナンスの品質の安定と可視化

修理業許可を有し、体系的な教育体制と技術基盤を備えた外部パートナーと連携することで、地域や担当者による技術格差を抑え、全国一律の対応品質を維持しやすくなります。

また、点検・修理履歴や部品交換状況を一元的に管理できる体制により、品質の透明性が向上し、製造販売業者側の品質監査やリスク評価も効率化されます。

 

メリット2|総運用コストの適正化と効率化

自社で全国の保守メンテナンス体制を維持する場合、人件費・出張旅費・教育費・管理費などが固定費として継続的に発生します。

一方、外部委託では作業量に応じた変動費化が可能となり、事業規模や需要変動に応じた柔軟なコスト管理が実現します。

さらに、技術力の高いパートナーを提携することで、作業効率の向上や再訪問の抑制など、運用全体の最適化も期待できます。

 

メリット3|法改正・規制対応への迅速な追従

医療機器の安全性確保に関する最終責任は製造販売業者にあります。
ただし、修理業許可やQMS運用、関連ガイドラインに精通した専門パートナーと提携することで、法改正や規制対応に必要な実務対応を迅速に進めることが可能になります。

法令動向のキャッチアップ、記録管理、監査対応ノウハウを共有できる点は、事業の持続性を支える重要な基盤となります。

 

 

Chapter.5

医療機器の保守メンテナンスの委託先を選ぶ際の判断基準

外部委託を成功させるためには、法令遵守と品質管理の観点から信頼できるパートナーかどうかを見極めることが不可欠です。

なぜなら、安価な委託先を選んでFSCA対応が遅れれば、製造販売業者が行政処分を受けるリスクがあるからです。
委託先の修理業許可・QMS体制の有無が、製造販売業者の監査対応・ブランド保護を左右します。そのため、単価も大切ですが、法令遵守を判断基準としてパートナー選定することが必要になります。

 

修理業許可の有無と区分確認

医療機器の修理や一部の保守メンテナンス行為には、薬機法に基づく修理業許可が必要です。
委託先がどの修理区分の許可を保有しているかを必ず確認しましょう。

 

品質管理体制と教育制度

エンジニアに対する教育・訓練、習熟度評価、作業記録の管理体制が整っているかは、品質を担保するうえで重要な判断材料です。
独自の教育プログラムや認定制度をもつ企業は、安定した品質提供が期待できます。

Chapter.6

医療機器の保守メンテナンスは「雇用」より「外部委託」が合理的なケース

全国展開や多機種対応を進める製造販売業者にとって、エンジニアを自社雇用で拡充し続けることは大きな経営負担となります。

外部パートナーを活用することで、

  • 固定費の変動費化
  • 需要変動への即応
  • 即戦力エンジニアの確保

が可能となり、事業スピードを維持しながら安定した保守メンテナンス体制を構築できます。

Chapter.7

まとめ|医療機器の保守メンテナンスの外部委託は戦略的選択

医療機器の保守メンテナンスの外部委託は、単なるコスト削減策ではなく、品質向上・法令対応力強化・経営資源の最適配分を同時に実現するための戦略的な選択です。

自社で抱え込むのではなく、専門性をもつ外部パートナーを適切に活用することで、製造販売業者は本来注力すべきコア事業領域にリソースを集中させることができます。

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